
石川県金沢市に、日本で唯一「香辛料の神様」を祀る神社があるのをご存じですか?
その名も、1300年の歴史を持つ「波自加彌神社(はじかみじんじゃ)」。
「はじかみ」とは昔の言葉で、ショウガやワサビ、サンショウなど“噛むと辛いもの”のこと。つまりスパイスや香辛料の神様なんです。全国の食品メーカーや飲食店関係者も参拝に訪れる、スパイス好きなら一度は気になる神社だったりします。
カレー好きとしては、一度はご挨拶しておきたい神様かもしれません。
そんな波自加彌神社で毎年6月15日に行われるのが「はじかみ大祭(生姜まつり)」。
大量の生姜が奉納される、なんとも個性的なお祭りです。
今回は、カレー好き・スパイス好きなら一度は訪れてみたい、石川県が誇る“スパイスの聖地”をご紹介します。
(カレーを食べ歩いて今年で28年目。いしかわ観光特使で、自称「いしかわカレー大使」ナマステが、カレー王国・石川県の魅力を県内外に発信する「北陸カレー物語」のカレー食べ歩きブログです。)
波自加彌神社とは?

まずは「波自加彌(はじかみ)神社」のご紹介です。
波自加彌神社は、日本で唯一「香辛料の神様」を祀る神社として知られています。場所は石川県金沢市花園八幡町。横綱・大の里や、女子レスリングで活躍した川井梨紗子・川井友香子姉妹を輩出した津幡町に近い、山あいの地域にあります。
創建は奈良時代の718年。およそ1300年の歴史を持つ古社で、平安時代に編纂された神社一覧「延喜式」にもその名が記されています。
もともとは現在地よりもさらに山の上に鎮座していましたが、1183年の源平合戦の際、倶利伽羅峠周辺の戦乱によって焼失。その後、現在地にあった八幡社の隣へ遷されました。
当初は別々の神社だったとされていますが、江戸時代の記録にはすでに合祀された「波自加彌神社」として記されており、長い歴史の中で現在の姿になったことが分かります。
すみません、神社巡りが趣味なので少し熱が入ってしまいました(^ω^)
奇祭「はじかみ大祭」とは?

そんな波自加彌神社で毎年6月15日に行われるのが、「はじかみ大祭」です。
由来は奈良時代までさかのぼります。
当時の加賀国では深刻な干ばつが発生し、「このままでは大変だ!」という状況に。そこで国司(現在の県知事のような役職)が波自加彌神社で37日間にわたって雨乞いを行ったところ、なんと霊水が湧き出したと伝えられています
おかげで人々は救われましたが、干ばつの影響で神様にお供えする作物がほとんどありません。そんな中でも生育していたのが「生姜」でした。
そこで感謝を込めて生姜を奉納した日が、6月15日。
これが現在の「はじかみ大祭」の始まりとされています。
近年は祭礼日を週末へ変更する神社も増えていますが、波自加彌神社が毎年6月15日に祭礼を行うのは、こうした由来があるからなんですね。
ちなみに、雨乞いによって湧き出したとされる霊水は「黄金清水(こがねしょうず)」と呼ばれ、神社創建の地付近に今も湧いているそうです。行ってみたい!
「はじかみ大祭」に行ってみた!

過去数年間に撮影した写真をまとめながら、実際の様子をご紹介します。
波自加彌神社はそれほど大きな神社ではないため、普段は駐車場も限られています。しかし大祭当日は町内の皆さんが総出で協力されており、近くまで行けば臨時駐車場への誘導も行ってくれるので安心です。
ちなみに、大祭は14時からですが、13時前でもかなり車が埋まっています。
拝殿には13時半前につくのがオススメです。
神社まではシャトルバスがありますが、体力に自信があれば、ぜひ歩いて向かうことをオススメ。
その理由は……

「余裕があれば歩いて」と書いた意味が、きっと分かるはずです(笑)。
目の前に現れるのは、ずらりと続く石の階段。
最初の80段までは数えていたのですが、曲がった先にも階段。また階段。そして、さらに階段……。
正確な段数は分かりませんが、たぶん130段くらいで、いつも分からなくなります汗
(実際は159段らしいです。数えてみてください。)
ゼエゼエ言いながら登ることになりますが、せっかく来たならぜひ挑戦してみてください。
そして、やっと登り切ると――。

拝殿が見えてくると、「はじかみ大祭」のにぎやかな雰囲気に包まれています。
境内には椅子もたくさん用意されていますが、自分は毎回人が多くて座れた試しがありません(笑)。
境内に着いたら、まずオススメしたいのが拝殿右側にある社務所前の「受付」です。
こちらで玉串料を納めて住所と名前を記入すると、お下がりをいただくことができます。
そして、このお下がりがなかなか面白いんです。
生姜に関する商品や食品などがいろいろ入っていて、「さすが香辛料の神社!」という内容。
毎年少しずつ内容は変わるのですが、自分が気になるのはなぜか毎年入っている湿布です(笑)。
きっと生姜が使われているんでしょうね。
そして、「行くなら13時半ごろがオススメ」と書いた理由がこちら。

14時から行われる大祭斎行の前に、「四條流包丁儀式(しじょうりゅうほうちょうぎしき)」が奉納されるんです。
包丁儀式とは、平安時代から伝わる伝統的な儀式のひとつ。烏帽子や狩衣をまとった料理人が、大きなまな板の前で魚に直接手を触れることなく、包丁とまな箸だけで見事に切り分けていきます。
もともとは神様へ供える魚を調理し、感謝の気持ちを表す神事。石川県でも受け継がれており、はじかみ大祭では毎年その姿を見ることができます。
実際に見ると、料理というより神事そのもの。
所作の一つひとつが美しくて、つい見入ってしまいます。
人気があるので人垣ができてしまい、正直なところ儀式の最中はあまり見えません(笑)。
ただ、終了後には捌かれた魚を近くで見られるようにしていただけますので、ご安心を。

さらに、早めの到着をオススメする理由がもうひとつ。
時間は年によって前後するのですが、「振る舞い」が行われることがあり、これがなかなか豪華なんです。
これまでには生姜を使ったお弁当やお寿司、さらにはカレーが振る舞われたことも。
ただし、かなり人気があります。
「絶対に食べたい!」という方は早めに並ぶくらいの気合いが必要かもしれません(笑)。
逆に、ゆっくり参拝を楽しみたい方は、「いただけたらラッキー」くらいの気持ちでいるのがちょうどいいかも。
ちなみに自分は、カレーが振る舞われた年にようやくゲットできました!

14時になると、いよいよ大祭が始まります。
基本は神社でお祓いするのと同じ感じですよー。
拝殿の中へ入れるのは奉納をされた方のみですが、毎年たくさんの参拝者が集まり、ぎゅうぎゅう詰めになるほどの盛況ぶりです。
ただ、大祭が始まる前や終了後は自由に拝殿へ上がって参拝できます。
せっかくなので履物を脱いで中へ入ってみましょう。
すると――
目に飛び込んでくるのが、ずらりと奉納された「生姜」。
本当に生姜です!
「香辛料の神様を祀る神社」と聞いてもなかなか想像できませんが、この光景を見ると一発で納得。
自分も初めて見た時は、「本当に生姜が祀られてる!」と驚きました。
これを見るだけでも、はじかみ大祭に来る価値は十分あると思いますよー。

そして、拝殿の中でぜひ見てほしいのが奉納品の数々。
全国の食品メーカーや飲食店、香辛料に関わる企業が、生姜や生姜を使った自社製品を奉納して祈願しているそうです。実際に見てみると、
「えっ、この会社も!?」
「このお店の名前まであるの!?」
と、思わず一つひとつ見て回りたくなります。
今回はあえて一部だけご紹介していますが、その名前を見るだけでも、この神社が全国の食に関わる人たちから信仰を集めていることがよく分かります。
他に拝殿の中には生姜が描かれた巨大な絵馬も。
気が付くと、奉納品を眺めるだけでかなりの時間が過ぎてしまうかもしれません(笑)。
ちなみに、拝殿の奥に見えるのが本殿。
大祭の神事は、この本殿の前で執り行われます。

ちなみに、お守りや御朱印も見逃せません。
生姜をモチーフにしたデザインが多く、他の神社ではなかなか見かけないものばかりです。
特に当日限定の金の御朱印もあり、自分は毎年ついつい購入してしまいます。
お守りも個性的で、「美食守」「福酒守」「料理上達守」など、食や料理に関わる方なら思わず気になってしまうものが揃っています。
もちろん、一般的なお守りもありますのでご安心を。ちなみに、自分は「美食守」をいつも持ち歩いています。
気になる方は、以前ご紹介したこちらの記事もぜひどうぞ。
(美食守のご紹介はこちら)

神事の後には、「しょうが湯」が振る舞われます。
使われているのは、最初に紹介した「黄金霊水」。冷たいんですが……
あたたまる!
不思議ですよねー。
ちなみに、正月は子供も多いので甘いのですが、大祭の日のしょうが湯は結構辛め。
生姜好きにはうれしいやつです。
拝殿の中から宮司さんや関係者の方が何度も運んできてくださるので、なくなることはまずありません。
あちこちから手が出てきますが、慌てなくても大丈夫ですよー(^ω^)

カレー好きとしては、「スパイスの神様」がいるなら一度はご挨拶しておきたいところ。
6月15日の「はじかみ大祭」はもちろん、普段のお参りもオススメですよー。
普段のお参りは、大祭が開かれた本殿の方まで行かなくても、バリアフリーの「遥拝所」もあります。遥拝所については、こちらの記事の最後の方をご覧くださいませ。
石川県が誇る、ちょっと不思議で、とっても面白い神社のご紹介でした。
今年も楽しみです!
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「はじかみ大祭(生姜まつり)」
毎年6月15日
13:30〜/四條流包丁儀式奉納
14:00〜/はじかみ大祭斎行
日本唯一香辛料の神 波自加彌神社
住所:石川県金沢市花園八幡町ハ16
TEL:076-258-0346
Instagram:https://www.instagram.com/hajikami_jinja/
※神社や大祭についての詳しい内容は、公式サイトでご確認ください。
https://www.hajikami.org/
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「波自加彌神社」へのアクセス
もしよかったら、「北陸カレー物語を見た!」と言ってもらえると、ナマステがこっそり喜びます(^ω^)
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※本記事は撮影・掲載許可を得て取材しています。











